雇止めとは?雇止めの類型と要件について解説します。
有期労働契約(期間の定めがある契約)は、期間の満了により当然に終了するのが原則です。ただし、民法には期間満了時に異議を述べないと契約更新を推定する規定が存在します。
そのため、契約を終了させるためには契約を更新しない旨通知する必要があります。当該通知の事を「雇止めの通知」といいます。
当該通知により、有期労働契約を更新しないことを「雇止め」といいます。
民法第629条1項前段
雇用の期間が満了した後労働者が引き続きその労働に従事する場合において、使用者がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の雇用と同一の条件で更に雇用をしたものと推定する。
1 雇止めへの制約
雇止めは、判例上形成された法理ですが、現在は労働契約法19条に規定があります。
同条の要件を要約して整理すると次の①(①の1又は①の2)、②、③に分類できます。
①(①の1又は①の2)、②、③の全てに当てはまると雇止めは認められません。
雇止めの要件
①の1
有期労働契約(「期間の定めがある」労働契約)が反復更新により社会通念上無期労働契約(「期間の定めのない」労働契約)と同視できること(無期契約と同視、19条1号)
①の2
有期労働契約の更新への期待に合理的な理由が認められること(期待の合理性、19条2号)
②
労働者から更新の申込等があること
③
雇止めを行うことが客観的に合理的理由を欠き、社会通念上相当でないとき
2 ①の1「無期労働契約と同視できること」
まず、この要件は、「期間の定めの有無」という形式的部分では判断しないことを意味しています。
更新を繰り返している労働者でも、契約更新の手続が形骸化しているとか、他の従業員が長期間にわたって継続雇用されているような場合には、社会通念上無期労働契約と同視し得るので①の1の要件を満たします。
具体的考慮要素については、施行通達(平24.8.10基発第0810第2号)に次の説明があります。
「これまでの裁判例と同様、当該雇用の臨時性・常用性、更新の回数、雇用の通算期間、契約期間の管理の状況、雇用継続の期待をもたせる使用者の言動などを総合的に考慮して、個々の事案ごとに判断される」
施行通達で明示された事情が全てではないですが、当該通達は参考になります。
3 ①の2「更新への期待に合理的理由が認められること」
初回の更新の場合は、基本的には上記「①の1」(無期契約と同視)には該当しません。
また、更新回数が少ないと、「①の1」(無期契約と同視)に該当しない時があります。
「①の2」に該当しない場合は、「①の2」(期待の合理性)の検討を行います。
具体的な考慮要素については、「①の1」同様に、上記通達が参考になります。
3-1 不更新条項がある場合(「①の2」期待の合理性との関係)
労働契約書に「当該契約は今後更新しない」という不更新条項が存在する場合があります。
当該条項の存否だけで「①の2」(期待の合理性)を判断するわけではありませんが、当初から不更新条項が存在していたような場合は、期待の合理性は否定されやすいでしょう。
一方、契約書に記載があるだけで、不更新条項が機能していない場合には、逆の結論もあり得ます。
不更新条項を設けた経緯・理由、労働者への説明内容、更新回数、更新状況などを踏まえて、更新への期待に合理的理由があるかを判断していことになります。
4 ②「労働者が更新の申込等をしたこと」
労働契約法19条では、労働者が更新の申込等をしたことが要件となっています。
更新の申込等は、雇止めに対する何らかの反対の意思表示が使用者に伝われば足ります。
したがって、当該要件が問題となることは多くはありません。
5 ③「客観的合理的理由、社会的相当性」
基本的には、解雇の場合に解雇が認められるか否かを検討する場合と同様に考えます。
解雇は無期労働契約の場合で、雇止めは有期労働契約の場合ですので、厳密には違いますが、基本的な考え方は共通する部分が多いです。
解雇については、以下の記事をご参照下さい。
6 まとめ
非正規雇用の有期労働契約などは、「正社員ではないから容易に雇止め可能」とか、「正社員と比べれば簡単に契約を切れる」などと誤解されることがあります。
しかしながら、雇止めは必ずしも容易に認められるわけではありません。
十分な準備・検討がなされず行われた雇止めは事後的に無効となる可能性があり、争いの余地があるということです。
これから雇止めを行うことを検討している方や、雇止めされて有効性に疑問があるといった方はご相談下さい。
法人様や個人事業主様については、現在具体的な争いが生じていない場合でも、顧問業務の形で継続的にご相談頂くことも可能です。

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