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退職勧奨をされたらどうする?知っておくべき対応と対策

作成:2025年5月30日 更新:2025年10月28日

「上司から『退職してほしい』と言われた」「部署がなくなるから辞めてほしいと言われた」などの退職勧奨をされたら、どう対応すればよいのか迷う方が多いでしょう。

退職勧奨をされたら、まず何をすべきか冷静に判断することが大切です。

退職勧奨は、会社からの働きかけに過ぎず、応じる義務はありません。

この記事では、退職勧奨を受けたときに知っておくべき基本的な知識を、弁護士が解説します。

1 退職勧奨とは(解雇との違い)

「退職勧奨」は、自発的退職を促すための使用者から労働者に対する働きかけのことです。あくまで事実行為に過ぎず、退職勧奨それ自体で労働契約は終了しません。

一方で、「解雇」は、使用者から労働者に対する労働契約の解約の申し入れです。解雇は、要件を満たせば、これ自体で法的効果を発生させます。

退職勧奨と解雇で手続的に違うのは、退職合意をする必要があるか否かという点にあります。

つまり、退職勧奨で退職させるためには、労働者側の同意が必要となります。

「退職勧奨」が選択される理由

会社が労働者に辞めてほしい場合と考えた場合は、解雇という方法も取り得ます。

ただし、解雇は要件を満たさなければ無効となります。

一方で、退職勧奨により労働者が自発的に退職すれば、解雇規制はかかりません。

そのため、労働者にやめてほしいけれども、解雇が無効となるリスクを取れないという場合に退職勧奨という手段が選択されます。

2 退職勧奨されたらどうすればいい?

退職勧奨をされたら、退職するかどうか即答せず、次の対応を取るのが妥当です。

(1)いったん持ち帰る

まずは、その場でサインをしないことが重要です。

「すぐにサインをしてくれないのであれば、この条件は撤回する」などといわれることもありますが、焦ってはいけません。

会社がすぐにサインを求める場合、会社側が解雇リスクを避けたいと考えている可能性があります。

(2)会社側の主張を整理する

次に、会社側が退職勧奨の理由として主張している内容を整理します。

後記の「よくある退職勧奨の理由」なども参考にしてください。

(3)会社側に追加で説明等を求める

会社側は、退職勧奨の理由を抽象的・曖昧に説明してくるのが普通です。

退職勧奨に際して会社がすべての理由を詳細に説明する義務があるわけではないため、説明は抽象的になりがちです。

しかし、納得できない場合には追加で説明を求めても良いでしょう。

(4)弁明を行う

会社側の主張内容が事実に反している場合には、誤りを指摘したりして弁明をすることは一定の意味を持ちます。

ただし、能力不足などの「会社側の評価を伴う事項」、所属部署の閉鎖などの「経営判断が関わる事項」が退職勧奨の理由となっていることが少なくなく、会社側が退職勧奨を中止することはあまりないという意味で、弁明が意味を持たない場合もあります。

(5)一切拒絶するか、条件交渉を行うか決める

上記の検討・過程を経た後は、退職勧奨を一切拒絶するか、条件交渉を行うか決める必要があります。

後者の条件交渉というのは、退職自体には応じることとし、退職金などの退職の条件を交渉するという意味です。

具体的には、退職時期、退職金の額、有給休暇の取り扱いなどは基本的な交渉ポイントですが、未払残業代等の有無を確認しておくと、交渉を有利に進められることがあります。

(6)弁護士に相談する

「(2)会社側の主張を整理する」以降は、弁護士に相談をして、進めるのも良いでしょう。

弁護士に退職勧奨に関する交渉の一切を依頼することもできます。

(7)対応の際の留意事項

退職勧奨を拒否しても大丈夫なのか

結論から言えば、退職勧奨は「拒否しても大丈夫」です。

辞めるかどうかは、労働者自身に決める権利があります。

会社が労働者を一方的に辞めさせる場合は、解雇による必要があります。

会社側が指定した期限を守る必要があるか

退職勧奨の際に、「3月末までに新しい転職先を探してくれ」などと具体的な期限を設定されることがあります。

このような退職勧奨中に一方的に設定された期限は、応じる義務はありません。

解雇ではないと会社側が強調している場合

会社側は解雇のリスクを避けるために、「解雇ではない」と強調する場合があります。

解雇という言葉を使っていなくても、指示内容的には解雇処分である場合や、違法な退職勧奨となる場合もあります。

事後的に紛争になった場合、会社側は解雇ではないと伝えていたなどと主張することが想定されるため、労働者側としては、面談の日時、拘束時間、具体的発言を記録しておくべきです。

3 退職勧奨の限界(退職の強要)

退職勧奨は、労働者に自発的な退職を促す限りでは適法です。

(1)退職勧奨が許される限度

一般論としては、使用者は社会通念上相当と認められる範囲内であれば、退職勧奨を行うことができます。

しかし、その社会通念上相当と認められる範囲を超えて、労働者に不当に心理的圧力を加えたり、虚偽の事実を伝えたりするなど、労働者の意思を不当に抑圧するような場合は違法となります。

違法な退職勧奨は、不法行為を構成し、別途損害賠償の問題が発生します。

(2)違法な退職勧奨と損害賠償

違法な退職勧奨は、労働者の人格的利益を侵害するものとして慰謝料の賠償が認められます。

退職勧奨に応じなかったことを理由に、追い出し部屋のような場所に勤務させるなども違法な退職勧奨となり得ます。

慰謝料の額については、100万円を超えることは多くはありません。

ただし、退職勧奨の方法が悪質な場合や、数年にも及ぶ退職勧奨、パワーハラスメントなどが存在する場合には、100万円を超える慰謝料の賠償が認められることもあります。

4 よくある退職勧奨の理由

退職勧奨がされる場合の理由には、次のようなものがあります。

(1)経営状況の悪化

まず、会社の経営状況が悪化したことを理由とするものです。

経営状況の悪化に疑問がある場合は、経営資料の開示を求めるべきでしょう。

(2)所属部署・所属部門の閉鎖

次に、所属している部署や所属部門の閉鎖を理由とする場合もあります。

具体的には、所属部署・部門が閉鎖することになったため、働く場所がないという理由です。

よくある理由ですが、同じ部署の他の労働者は継続して雇用されているなど退職勧奨の理由として合理性がない場合も少なくありません。

(3)能力不足

更に、能力不足を理由として退職勧奨が行われることもあります。

まずは具体的にどのような能力不足なのか、会社側に説明を求めるのが良いですが、会社側の評価が伴う事項であるため、反論をしても退職勧奨が中止になることはあまりありません。

(4)解雇の緩和措置

解雇の緩和措置として、退職勧奨が行われることもあります。

「本来であれば解雇であるが、解雇は避けてあげる」といった形で話を持ち掛けられるのがこの類型です。

この類型の場合は、会社の言い分が法的に正しいのか見極める必要があります。

解雇につき心当たりがなければ、会社側に解雇理由の具体的な説明を求めるべきでしょう。

(5)配置転換の緩和措置(出向を含む)

配置転換や、出向などの緩和措置として退職勧奨が行われることもあります。

場合によっては、不当な配置転換を前提にその緩和措置として話を持ち掛けられる場合があります。

不当な配置転換としては、「過度な業務を課す」、「従前と全く異なる業務を割り当てる」、「必要の乏しい出向、就業場所を変更する」、「単純作業を任せる」などが挙げられます。

不当な配置転換の緩和措置として退職勧奨が行われる場合は、退職勧奨自体が違法となる場合もあり得ます。

5 退職勧奨に応じるメリット・デメリット

(1)メリット

退職勧奨に応じることは、退職金の上乗せなど良い退職条件で退職できるメリットもあります。

また、退職時期、有給休暇の消化などの調整も可能で、転職活動についての融通が利く場合が少なくありません。

(2)デメリット

退職の時期・年齢によっては、転職先で同水準の収入を維持できない場合もあります。

また、会社を退職し、転職することの合理的説明ができず、転職活動に支障を来す場合もあります。

なお、弁護士に依頼することなく対応した場合に限りますが、退職勧奨に応じて退職合意書にサインしてしまうと、その後の請求が極めて難しくなります。

6 退職勧奨をされたら残しておきたい証拠と注意点

退職勧奨をされたら証拠を残しておくことが重要です。

そして、次のような点に注意すると良いでしょう。

(1)退職勧奨を受けている際の具体的言動

まず、退職勧奨を受けている最中の言動は録音をしておくべきです。

記録に残しておけば、言った言わないの水掛け論を回避できます。

秘密録音は違法証拠?

民事上の裁判の場合、秘密に行われた録音でも原則、証拠として認められます。

また、会社側から録音は禁止するなどと言われて、それを守らなったとしても、そのことで直ちに証拠として利用できなくなるわけではありません。

不安であれば、事前に弁護士に相談することをおすすめします。

(2)面談の時間・回数・頻度

また、面談の時間、回数、頻度も退職勧奨の適法性を判断する上で重要です。

録音でも時間や頻度などは分かりますが、メモ帳などの別の保存方法で面談の時間等も控えておくと便利です。

(3)面談の場所、面談の人数

面談の場所や面談者の人数も重要な事実になり得ます。

通常は面談をする場合は、会議室などの個室に呼び出されます。

退職勧奨の対象者に精神的な苦痛を与えるために、他の労働者がいる面前で行われる場合などは違法な退職勧奨になり得ます。

また、会社側が多数の人数で圧迫的に行われる退職勧奨も、違法な退職勧奨になり得ます。

7 退職合意書で確認すべきポイント

退職勧奨に応じる場合に退職合意書で確認すべきポイントは次の点です。

(1)退職日

退職日は必須の確認事項です。

仮に、退職勧奨開始から1か月以内の日が退職日となっている場合は、注意が必要です。

解雇の場合でも、解雇予告(または解雇予告手当の支給)をすることが必要ですので、1か月以内の日に退職するよう退職勧奨されたら解雇予告手当に相当する金員は求めるべきでしょう。

(2)退職金

次に、退職金の支給額につき、計算方法の確認をします。

会社都合退職、自己都合退職で算定方法が異なる場合がありますので、正しく計算されているか確認すべきです。

通常は、退職金に関する規定を開示を受けて計算方法の確認を行います。

なお、退職金は出ないと言われた場合、他の労働者に対する支給状況を確認しておくべきです。

(3)自己都合退職、会社都合退職

離職票の離職事由について、自己都合(労働者の判断によるもの)、会社都合(事業主からの働きかけによるもの)のいずれの取り扱いにするかも決める必要があります。

自己都合退職だと、雇用保険の支給開始時期が遅くなる点に注意が必要です。

基本的には、退職勧奨をされたら、会社都合にすることを求めるべきです。

(4)清算条項について

清算条項が設けられるのが通常です。

「お互いに何らの債権債務がないことを相互に確認する」といった文言がこれです。

清算条項付きの退職合意書にサインしてしまうと、退職合意書に記載されているもの以外は請求しない合意をしたと判断されます。

例えば、未払賃金などが発生していても、退職合意書にサインした後だと請求することが難しくなります。

8 まとめ

退職勧奨はあくまで、会社側からの任意の退職のお願いであり、強制力はありません。

まずは冷静に状況を整理し、安易にサインをする前に弁護士に相談することが大切です。

退職勧奨への対応を誤ると、不本意な条件での退職となったり、本来の権利を失うおそれがあります。

退職勧奨の初期段階から弁護士に相談し、対応方針を立てることが重要です。

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