【会社側向け】
労働審判の手続・会社側の対応について
労働審判は、労働審判委員会(裁判官1人、労働審判員2人で構成)が関与して行われる手続です。通常の裁判とは全く異なる手続です。
そして、特別の事情がある場合を除き、3回以内の期日で審理を終結します(労審法15条2項)。
そのため、通常の裁判と異なり、紛争の早期解決が期待できます。
通常は、労働者側が労働審判の申立てを行いますので、会社側は相手方となることが多いです。
労働審判の流れを簡単に図にすると次の通りです。

以下では、上記図を参考にして会社側から見た場合の労働審判の手続等について説明します。
1 第1回期日までの準備が非常に重要
労働審判は、第1回期日で終了する場合も少なくありません。第2回期日が開かれる場合でも、和解を見据えて進行・運用されています。
このような進行・運用が意味するところは「裁判所は、第1回期日までに提出された書面の内容を見て、争点に対する心証・和解の方向性などを考える」ということです。
したがって、会社側は、できる限り第1回期日までに主張立証を尽くす必要があります。
2 第1回期日までに残されている時間は非常に短い
第1回期日は、原則、申立ての日から40日以内の日が指定されます(労働審判規則13条)。
また、申立ての受付後、裁判所で内容の確認と日程調整を行うために数日は時間がかかります。
そして、裁判所における申立内容の確認・日程調整の後、申立書が会社に郵送されます。
以上の流れのため、会社に申立書等が届いてから第1回期日まで1か月もないということが普通に起こります。
したがって、会社側は、書類を受け取ってから短期間で反論の準備をしなければなりません。
3 第1回期日までの余裕を持った書面の提出
反論の書面を第1回期日当日に裁判所に持って行っても、裁判所は内容を確認できません。
そのため、余裕をもって答弁書等を提出する必要があります。
裁判所に主張を理解してもらうため、遅くとも第1回期日の5日程度前までには提出すべきです。
4 第1回期日で行われること
まずは、裁判所の法廷に当事者全員が出席します。労働審判手続は非公開の手続であるため、第三者の傍聴は原則認められません。
裁判官1名、労働審判員2名が出席し、労働者、労働者側代理人、会社代表者(担当者が出席する場合もあります)、会社側代理人が集まった状態で、裁判官、労働審判員から、提出した書面等に関して労働者側、会社側側それぞれに質問がなされます。
一通り裁判所側の質問が終わったら、労働者側と会社側が個別に裁判所と話をすることになります。
事案にもよりますが、この個別の話の際、各論点に対する裁判所の心証開示や調停案(和解案)の協議が行われます。
労働者側と会社側で合意できればこの日に事件が終了します。
第1回期日では調停案(和解案)の調整がしきれなかったり、追加の主張立証が必要と裁判所が考える場合には、当事者に一定の準備事項をお願いした上で第2回期日が指定されることもあります。
5 第2回期日、第3回期日で行われること
基本的には第1回期日と行うことは同じです。
ただし、事実関係の聴取は第1回でほぼ終了しています。
そのため、調停条項(和解内容)の調整がメインとなることが多いと思われます。
事実関係が複雑な場合は第2回期日、第3回期日でも事実関係の聴取等を行うこともあります。
ただし、第2回期日、第3回期日でも事実関係の聴取等を行わなければならないような事案はそもそも労働審判手続で解決は難しく、裁判手続で解決すべき場合もあります。
6 話し合いによる解決ができない場合
労働審判手続内で話し合いによる解決ができない場合には、裁判所は進行を決定します。
裁判所が取る方法としては、「労働審判を行う」「労働審判手続を終了させる(24条終了)」があります。
労働審判に異議申立てを行った場合、24条終了となった場合は、訴訟手続に移行します。
7 まとめ
会社側からみた労働審判手続
第1回期日で終了する事件が多い
第1回期日までに提出された書面を裁判所はきちんと確認している。初動の対応が重要。
第1回期日までの期間
申立書が届いた後、第1回期日までに会社に残された準備時間は短い。
第1回期日での対応
裁判所から質問があるため、説明できるように準備しておく必要がある。和解可能な金額のラインもあらかじめ検討しておく必要がある。
労働審判は、会社側の準備が大変ですが、必ずしも会社に不利な手続ではありません。労働者も裁判ではなく労働審判を選んだ以上、話し合いで解決する意図があるのが通常です。
そのため、会社側も労働審判手続を利用して早期解決を目指すのが合理的な場合もあります。
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